2025.09.30
お知らせ
2025年9月に開催した連続セミナー『クルドの子どもの「命」を守る』
こちらの第1回に登壇した、クルド人の当事者でもあり、メタノイアのコーディネーター職員であるメルバンさんのお話をまとめました。
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クルドの子どもたち、家族たちの最も身近にいるメルバンさんからの現状の報告、メッセージをお読みください。
(当日のお話を文字起こしした記録です。話し言葉をほぼ修正せずに掲載しています)
記事の中には、ヘイトスピーチそのものの引用や、ヘイトにつながる言葉が登場します。苦しくなったりされた方は無理をせず、お気をつけてお読みください。

よろしくお願いします。まずは最初に私メルバンの自己紹介をします。
私はもともと日本に約15年前に来て、最初の頃は在留資格があったんですけど、その後に取り消しにされて、家族で仮放免者になりました。そこから、仮放免というものが私の生活にも結構いろんな影響を与えて、たくさんの経験をしました。
仮放免ということがどういうことか分からない方もいるので、説明させていただくんですけど、強制退去命令が出ている方々が強制送還される予定の人々で、在留資格がなくて、いつ収容送還されてもおかしくない状況にある人々が仮放免者です。
仮放免者には、県外移動の禁止、就労の禁止。あとは住民登録ができないなど、様々な制約が課されていて、これは日常生活に結構大きな影響を与えていて、例えば保険証を持つことができない、またはそのバイトして何かしようということもできない。あとは大学側から仮放免者は受け入れられないということもありました。
特にその「いつ強制送還されるかわからない」という状況は、子どもたちにおいても、本当に急に、出頭日で収容されてそのまま強制送還されたり収容される可能性もあるので、いつ本当に人生が打ち切られ、人生というか日本での生活が打ち切られてもおかしくない状況っていうのが仮放免です。
私も元々は結構サッカー選手を目指していて、練習とかもしていたんですけど、高校の時に仮放免者は就労ができないとか、チームに所属することができないということを告げられ、その結果、夢を諦めてしまったっていうことがありました。
実際に私以外にも同じ状況の方々がいて、その方々は日本で生まれた、または幼少期に日本に来た方々がほとんどで、仮放免っていうのは本当に今も経験されている人々がたくさんいるんですけど、生活できないというか、人権が保障されていない状態です。
私はもうそれをきっかけに在留資格をもらって。自分の経験をきっかけに、その仮放免状態にある、または仮放免状態でなくとも日本で生活していて、生活に困難があるとか大変な思いをしている在日クルド人の若者を支えたいと思って、現在のメタノイアで仕事を始めました。
ここまでが自己紹介になるんですけど、自分の経験からこの支援があったらすごく嬉しかっただろうとか。この支援があったらもっといい受験ができただろうっていうことを考えながらやっている支援なので、結構若者に役立てる支援だなと思っています。

これまでメタノイアの蕨での教室で、私たちはまずお母さん達向けの日本語教室をやりました。この教室ではレベルを分けて二つに分けてあります。
一つが初級クラスで日本語全く分からないお母さん達。お母さん達だけでなくて、学校にはいけないけど、18歳とか20歳ぐらいのそのクルド人の女性がその教室に来ていました。そこではもう本当に日常に必要な言語とか、例えば、買い物に行くときに何を使うとか、そういった日常的な言語が使われていて。その一方で、日本の文化とかも教えるマナーも教えるっていうことも授業に取り入れていました。
もう一つの中級ではないんですけど、初級より少し進んだクラスもやっていました。そのクラスでは(日本語能力検定の)N5を受ける生徒がかなり多かったので、N5に近い勉強をしたり、初級と中級の間ぐらいの勉強をしていました。
お母さん達が日本語を学ぶことは、子どもにとって本当に重要なものであって、もちろんお父さんもそうなんですけど、学校から来た手紙を子どもが読んでも理解できなかったりとか、実際に保護者向けに、その今、川口市の小学校では振り仮名を振っている学校もあって、ひらがなさえ読めれれば、その子どもの現状がどういう状況なのかとか、どんなイベントがあるのかっていうのは分かるのに。それを分からない。ひらがなも読めないし、日本語もできないお母さん達が居たので、このお母さん向けの支援も本当に重要なものだと思います。
今はこのお母さん向けのコースまで休みになっているんですけど、この支援も引き続きやっていきたいと思います。

また、子どもたちの日本語学習支援というのもやっていて。
これは日本にいるその在日クルド人の子ども達はやっぱりトルコ語もクルド語も日本語も全部できる人もいるんですけど、一方で、その、例えば日本語の方ができる、もうクルド語とトルコ語よりも日本語の方ができるという子がいたり。全部が混ざって話す。トルコ語、日本語、クルド語を話す子どももいて、そういった子は、家庭では、例えばお母さん、お父さんが日本語わからないからクルド語とトルコ語を話さないといけない。でも、学校では日本語を話さないと授業についていけないので、やっぱり学校での日本語の部分がちょっと不足している部分もあって、うちの教室でその子のレベルに合わせた日本語学習も行っています。
また日本語学習だけではなくて、教科の支援もやっていて。これというのも学校の授業には追いついていけない子どもで、メタノイアでいろんなクラス分けをし、アセスメントでその人の実力にあったクラスに入れて、そこで実際に学年関係なく分からないところから学び直すということをやっています。

子どもへの学習支援だけでなくて、居場所としての支援の機能もメタノイアの教室にはあると思っています。
それは、学校でいじめにあったり、あと、実際にその人には話せない。例えば、クルド人の場合多くあるんですけど、その学校でいじめにあって、お父さんお母さんには話せないっていうのも、なんか恥ずかしいとか、そういう気持ちもあるし。
お父さん、お母さんはそもそも学校の事を知らないということもあるので、自分の中にそのままにしておいて、どんどん孤立してしまうケースもあったので、そういう子どもたちには「いじめを受けてるの?」っていう関わりではなく、普通にうちの教室に来てもらって、一緒にちょっと話をしたり、勉強したりしています。
毎週水曜日の18時から何でもしていい日みたいな日があるんですけど、その日に来てもらって学校であったいじめとか、実際に今はどういう学校生活を送ってるのかっていうのを聞きながらサポートしている機能もあります。

また、高校受験や進学に向けたサポートも行ってきました。
これは個人相談事業としてやっていたんですけど、私が高校に進学するときは、サポートしてくれる支援者は周りにいたんですけど、本当に少なかったので、私自身はそこまでサポートしてもらえなかった。
というか、私もそのお父さん、お母さんが本来サポートする立場だと思うんですけど、二人とも小学校低学年で学校を辞めさせられていて。
だからもう日本の学校、日本の学校システム以前に学校のシステムが全く分からないっていう状況だったので、本当に自分で調べて自分でやらないといけないっていうことがあって、そこで相談できる人もいない状況が続いていたんですよね。
それは、というのも、将来何になりたいの?っていう質問をしてくれる人もいなかったし、一緒に学校見学に行ってくれる人もいなかったので、そういう人がいればもっと違う進学も出来ただろうし、もっと勉強に集中できたのかもしれないという。
ちょっとそういう悔いも正直あって、この支援を始めたんですけど、実際に子どもたちと高校の見学会に行ったり、例えばサッカーやりたい子がよく子どもがいて、高校ではサッカーを頑張りたいって言っていたので、いろんな高校を回って、そこのサッカー部が本人に合うかどうか。実際にそのスカウトが出た高校もあって、その高校のサッカー部の体験に行ったらすごく気に入ってもらえて、その子をスカウトするっていう話で、その子は別の高校に行くことになったんですけど、そういった出会いもあるので、サポートしています。
また、サッカーの話でもそうなんですけど、進学だけをサポートするのではなくて、目標もサポートしたいっていうことがあってモデルになりたいけどあんまり日本語のその難しい日本語ができないっていう子がいました。
芸能事務所とかもモデル業界では金銭トラブルにつながることもあるので、私と一緒に行きたいということで、モデルや俳優業のオーディションにも一緒に行ってきました。
そういうサポートを行ってきて、本当に自分が高校生の時にあったらよかっただろうなっていう支援をやってきました。

ここで最近の状況について少し話をさせていただきたいと思います。最近はやっぱり強制送還されてしまう家族がどんどん増えていて。
この家族というのも10年とか15年とかの間ずっと日本にいました。生活基盤が日本にある家族で、子どもたちも日本の小学校や保育園から始めて。保育園から高校まで日本人の友達と一緒に修学旅行に行ったり、行事を一緒に祝ったりして様々な経験を共にしてきた、将来の夢を持って目標を立てて、頑張っていた子たちだったんですけど、私の知っている子どもたちだけで5人が強制送還されてしまいました。
その中では、4月から大学生になる子どもが一人いましたし、中学生で、高校受験する予定だった子どもたちが強制送還された事例もありました。その子達は1人だけトルコ生まれなんですけど、残りの3人は日本生まれの子どもたちで、日本語の方が話せるし、日本の食の方が好きという子どもも二人いて。
本当にもう日本での生活に慣れていて、そのうちの一人が私に「見た目はもう外国人だけど、中身は日本人」っていう言葉を言ったんですよね。その話を聞いた2週間後に強制送還されてしまったので、すごくショックというかトルコで生活できるのかなっていう不安がすごくありました。

その中に一人は「人生をめちゃくちゃにされた」と言っていました。
中学三年生の子がいたんですけど、この子は受験の年で実際にいろんな高校に一緒に見学に行きました。この人自身はその在留資格があったけど、お父さんが在留資格がなくて。お父さんが強制送還されてしまって、結果的にその家族がもうバラバラになってしまったっていうことがあったので。この人のお母さんも「家族バラバラは嫌だし、もしお父さんがトルコで何も問題なければ帰ろう」っていう話しになってしまいました。
この人は日本生まれで幼少期から日本にいる子どもです。本当にすごい勉強を頑張っていて、成績も見せてもらったんですけど、2が一つもなくて3と4と5がほとんど。すごく優秀な子だし、今後も日本で頑張っていきたいと思っていた子どもなのに、急に強制送還が決まって。本当にもうその子はやる気がなくなって「人生壊された」とか、「人生をめちゃくちゃにされた」ということで、すごく落ち込んでいたんですよね。
さっきもその子を一緒に教室にいて、ゲームっていうか一緒にちょっと遊んだり話をしたんですけど、明るくは見えるんですけど、実際にちょっと話を掘り下げるというか、二人きりの時はあんまりちょっと元気がない状況が続いていて、私たちに明るく見せてるのかなっていうのがあってすごく心配です。

受験直前に強制送還された高校生も一人いました。
この人は大学受験をする予定で、オープンキャンパスに行って、色んな大学を回って、やっと自分に合う大学を見つけて受験予定だったんですけど、この方も強制送還されてしまいました。
この方はスポーツや色々なことを頑張っていて、日本人の友達もたくさんいて、私も何回か一緒にご飯に行ったり一緒に遊んだことがあるんですけど、本当になんて言いますかすごくもったいないと感じます。すごく頑張っていて、すごくこう応援したくなるような人です。
今トルコに帰っていて、連絡は何回か取っているんですけど、やっぱりトルコでは生活できないと言っていて。それは本当に文化も日本と違うし、言語も違うし、トルコ語もあまりできないので、なんとか日本に来れないかって探しているんですけど、結局方法が見つからなくて。今すごくその人もちょっと精神状態があんまりよくないという話は聞いています。
もう一人サッカー選手を夢見ていた子どもがいます。私も一緒に練習していて、すごくサッカーもうまかった。さっき言った高校からサッカーのスカウトをもらう予定だったんですけど、結局お父さんが強制送還されたことで日本に残れなくなってしまって、結局来年ぐらいに帰ることが今決まっています。その人の弟妹も3人いるんですけど、全員日本生まれです。

やっぱり日本の文化に慣れているというか、もうほぼ同化している状態で。本人は少しだけトルコ語とクルド語できるんですけど、妹達は全然日本語しか話せません。お母さんも以前N3の受験をしたほどの方だったので日本語で過ごしていたようです。その家族がもう日本に居れなくなってしまって、子どもの夢もなくなってもう一回トルコに行ってゼロから始めないといけないという状況に追い込まれてしまったので、本当に悔しく思います。
本当にこの強制送還されてしまうのって、10年、15年日本にいる子どもたちで。先程も言ったんですけど、生活基盤が日本にあって、友達も日本人の方が普通に多いし。言語もトルコ語とクルド語より日本語の方ができるし。なんなら食事も日本食の方が食べられる。将来何年後に、例えばサッカー選手になるとか弁護士になるとか、工業系の仕事をするとかみんなそれぞれ夢を持っていた子どもたちで。その夢を持っていたというのは、日本で夢を持っていた子どもたちです。

その子どもたちが入管に出頭した日に急に全員強制送還されました。
その日本人の友達はやっぱりみんなショックを受けて、「日本はこんな国じゃない」って疑う人もいるんですよね。こんなことするはずがないって。あの子は悪いことするわけがなかったし。
先程の大学受験する予定だった子どもは、入管に出頭した日に強制送還されるっていうことはまったく分からなかったので。友達と例えば一週間後に映画見に行く予定とかも全部その日に全部途絶えたというか、もうそれが不可能になってしまった。本当に私がその仮放免の時にずっと恐れていた状況というかシナリオというか、そんなことがあって、本当に私自身もすごくショックを受けていて悔しい気持ちです。
日本に残ってもその強制送還された子ども達は確かにたくさんいます。本当にそれは辛い状況というか日本でずっと生活していて、生活基盤もあって急に強制送還されるって本当に想像できないほど大変なものなんです。

でも一方で、日本に残っている子どもたちの方がやっぱり圧倒的に多くて。
その中には日本語があまりできない、家ではトルコ語・クルド語、学校では日本語で、結局3つの言語ともあんまりうまく話せないという子どももいて。もちろん授業についていけない子どもたちもいます。そういった子どもたちを私たち教室で支えていきたいっていうのが私たちの目標です。
またその高校受験や将来について、親が理解できていない子どもたちもいます。
これというのも先程言ったようにクルド人のお母さん、お父さんはほとんどがその小学校三年生とか四年生で学校に行かなくなってしまった子どもたちです。
それというのも、例えばうちの村では隣りの村の小学校に行くしかなかったっていう時代があったんですけど、その時って8・9キロぐらい歩かないといけなくて、毎日その距離を歩いて学校まで行くのって本当に大変です。
あと、トルコ人がたくさん住んでいる村だったので、やっぱりクルド人だからちょっと差別にあうこともあったみたいです。実際に私のお母さんがそれで小学校三年生で辞めてしまったという話を聞ききました。
ほかのお母さん、お父さんもやっぱりそんな感じです。学校のシステムもわからないし、そもそも学校行く意味ってあるのかなと思う人も正直いるんですよね。そういう人達は学校に自分達が行けていないから、学校というものはどのようなものを提供してくれて、例えば、子どもみんなで一緒に修学旅行に行くとか校外学習に行くとかあると思うんですけど、そういうのも全く経験してない人たちなので、子どもの学校のことがやっぱり全くわからないという状況があります。
でも学ぼうとする人もいるんですけど、そういう人々が高校受験を手伝うとか、一緒に高校の説明会に行くというのも結構難しい状況にあります。

最近のそのクルド人の子どもたちから聞く話の中には、友人が強制送還されて、正直、ちょっと日本での生活が嫌になったっていう子どもたちもいます。
その子どもたちは、強制送還された子ども達と、例えば親戚だったり、生まれてからずっと同じ、近所だったりしていて。そういう親友が帰されてしまったり。やっぱり、その帰されただけでなくて、最近のそのクルド人に対するヘイトが続いていてメンタル的につらい子ども達も実際に結構います。
中にはその高校生の話も聞いたんですけど、実際に何かその子どもが何か例えば、友達とトラブルになったり喧嘩になったりしたら、「やっぱりクルド人だから」みたいな言葉を言われるらしいです。それというのもやっぱりSNSとかではクルド人は、SNSのものを反映すると、もう凶暴で勉強しなくて、喧嘩して犯罪者で、みたいな。すごく嫌なイメージがたくさん集まってしまっていて、だから、やっぱりクルド人ってその友達に言われたときは、その人は正直嫌だったっていう話をしていて。
誇りに思いたいけど、結局、犯罪とかと絡められて、やっぱりクルド人って言われたから、すごく嫌だったっていう子もいました。

あとクルド人全員が悪いと思われないでほしいっていう、実際に記事にもなった語りがあるんですけど。どの民族にも普通に悪い人がいて。私と同じ民族の人が悪いことをしたからって、私自身がその悪い人として扱われるのはステレオタイプでもあるし、誰からしても正直嫌なものであって、クルド人っていう言葉自体がもう文句(悪口)として使われる。
実際にそういう事例が出てるので、本当に今よくないことが続いています。あと、中にはもう中学三年生の子がそのクルド人であることをクラスメイトに知られたくないっていうことを言っています。この子は前からずっと(自分のことを)「トルコ人」と言っていて。例えば友達に「最近クルド人話題になってるね」と言われても、「分からない。自分、トルコ人だから」みたいな感じで話をしていると聞きました。
その人のお父さん自身は、すごく「クルド人であること」を誇りに思う人というクルド人主義みたいな人であって。でも子どもはもう最近のそのクルド人のイメージとかSNSで書かれてることを見て、もう自分はクルド人だと思われたくないとまで思っていて。だから、すごく自分の出自とか民族を嫌になるところまで今ヘイトが来ていて、同じと思われたくないという人もいれば、全員が悪いわけじゃないからそこを考えてほしいっていう人もいます。

私自身と同じ経験をしている中学生も一人いて、その方はもうカメラ向けられるのが本当に嫌だと言っています。
動画や写真を撮られていなくても、例えば電車で目の前の人が携帯をいじっていて、そのカメラが自分の方向に向いている時でも、すごくこう撮られてる感じがして不安になると。実際にこの方は直接的には被害にはあっていないんですけど、やっぱり周りで被害にあってる方々がいます。
ただ撮られてそれをSNSに拡散とかされなければいいんですけど。実際に今のところ写真を撮られて、「例えばこの人は窃盗をしました」とか、よく根拠のない言葉を書かれて、例えば私が何も犯罪をしていなくても、そこに私の写真が貼られて、「この人、さっき私に暴言を吐きました」とかそういうのを書いて、もう今信じられてしまう時代になってるんですよね。
これも本当にSNSでのクルド人のイメージというかそのヘイトとか、デマ情報がたくさん絡められた結果だと思うんです。例えばクルド人の写真を撮られて、「この人、今お店で何かを盗みました」って言って、それをSNSに拡散すると、もう何万もの人がその投稿を見て「いいね」したり「クルド人やっぱり危険だ」とか書いたりするんですけど、そんなことをしてないよって反論しても、何かを盗んでいない根拠なんて証明できるわけないのに、デマの方を信じられてしまうことが今あって。
私もこれ、すごく怒りというか、私自身も盗撮された経験があるので、本当にどうしようもない。結局警察の方々に言っても対応できないと言われることになってしまうし、すごくなんて言いますか、危険なものだと感じています。

私たちの教室は、実際にそのような経験をしている子どもたちにも、居場所としての場でありたいと思っていて。そして勉強を手伝う場でもあって。
子ども達の居場所というのも、例えば、SNSとかでの投稿を見ると、「クルド人は出てけ」とか、「クルド人はいなくなれ」とか「クルド人はこうだ、ああだ」ってたくさん言われてすごく嫌になるんですよ。
私もX(Twitter)はもうすでに消してるんですよね。そういう投稿を見たくないし。最近はTiktokでもクルド人ヘイトに関する動画がたくさん流れていて。子どもたち、そういうのを見ると、やっぱり自分達はもう日本から追い出される気持ちというか、もう出て行けって言われる感じがするんですよ。
そこで、私たちの教室は現在の状況わかっているから、日本人の方々とも交流できる場所としてあるし、「あなたはネットではたくさんそう書かれてるけど、実際にはみんなあなたを追い出そうとしていないし、ここに受け入れる場があるよ」っていう意味で、居場所としての機能もあると思います。
そして勉強を手伝う場でも。先ほど説明したように勉強手伝う場でもあって、将来の目標をサポートする場であり続けたいと思います。
クルド人全員が悪い人ではないし。どの民族にも悪い人がいるのは、そうなんですけど、私たちからしてもその人は迷惑なんですよ。結局クルド人の印象を悪くしているから。
だからネットの書き込みで「クルド人死ね」とか、「クルド人消えろ」とかそういうのを見てると正直、なんで私が言われないといけないの?とも思うし。人がいるところで私自分からクルド人だって言えないんですよ。自分から言わなくても「何人(なにじん)ですか?」って聞かれたら、「クルド人」って言ったらなんかすごく嫌な反応するんだろうなあとか考えてしまいます。
犯罪を犯したクルド人もいるんですけど。でもネットでその悪い所ばっかり取り上げられて、しかもデマも混ぜられてしまった結果が、犯罪者集団だみたいなものになってしまって、どんどん大きくなってしまって、実際に被害が出たこともあります。
だから皆さんももし機会があったら、私たちを実際に関わって私達が本当にそういうSNSで言うほどの犯罪予備軍みたいな感じの人達なのか凶暴なのかとか、本当に一回蕨に足を運んでもらって、皆さんとぜひ交流できたらすごく嬉しいです。


もともと私達の教室では、水曜日イベントというものをやっていて。これは中学生が勉強に来る時間、18時から19時ぐらいの時間に、毎週水曜日は勉強じゃなくてもいい。例えば来て本当にもうゴロゴロしてもいいし。例えば分からない学校の手紙があったらそれを持ってきて、私が訳してということでも大丈夫ですし。
今日水曜日なので、さっきもずっと子どもたちと一緒に「国旗カルタ」をやったりとか。マンカラ・カラハっていう難しいゲームをやったんですけど、子どもたちからしたら本当にのんびりできる場所です。
別に今日は授業日ではないから私達から来てって何も伝えなくても、3~4人は必ずいつも集まるんですよね。
このイベントは本当に重要なものだと思っています。子どもたちと勉強以外のことも話せる。例えば「最近はどうなの?」とか、「友達と仲良く行ってる?」とかそういうことも話せる時間なので、本当にすごく私からしたらすごく重要なものです。
この水曜イベントを10月から土曜イベントに変えようと思っていて。
その理由としてはやっぱり(平日の放課後)18時から19時だと小学生は来れない。小学校行ってる子どもたちのその実際の思いとかもしれないっていうのがあって。だから、これからは土曜日の14時から開催することになったんです。10月から土曜日の14時に始まって、17時半ぐらいまでやります。
目的としてはやっぱり、もっといろんな国籍の・・・、今うちの教室には中国の方々もみんな来られていて。そこで、例えば中国の方とクルド人の子どもが一緒に勉強してる姿とか見るともっとなんか交流できるイベントがあったらすごいうれしいなと思って、この土曜イベントっていうものを作ったんです。
内容としては一緒に集まって何をするか一緒に決めてもいいし。一緒に勉強したり遊んだり、ゲストを呼んで何か絵本を読んでもらったり。そういった交流できるイベントです。国籍関係なく交流できて、みんなで楽しめるイベントを設けたいと思っています。
その理由としては、やっぱり今日本に残ってる子どもたちがあのもっといい生活を送れるように、そしてその学習面でも、メンタル面でもサポートできるようにこのイベントを設けたいと思います。

子どもたちの学びと夢を守る活動をこれからも続けたいと思います。
私自身も本当に仮放免がどういう状況かを経験しましたし。私が大学に進学するとか決めた時って、やっぱり友人の中でその大学に進学できない子どもたち、人たちをいっぱい見て、結局その人たちは、将来の夢とか目標が全部諦めてしまって。すごくなんて言いますか、辛い思いをした友達がたくさんいて。その友達の話を聞いてると、やっぱり子どもの時からのサポートがすごく重要だなあと思っています。
例えば、クルド人ヘイトによってSNSで見た投稿で、その子がすごい精神的に嫌な状況になって、勉強にも追いついていけないし、日本での目標も立てられなくなってしまうし。本当にこう、どんどん色々と取られていってしまう。
色々と失ってしまって、友達も失ってしまって、最後孤立してしまうっていう。すごく怖い事例も過去にあったので、もうそれをなくすサポートをするというのが私の目標です。
私が子どもの時にこんな支援があったらよかった、こんな言葉をかけられたらすごく嬉しかっただろうな、っていうものを子ども達にどんどん伝えていきたいと思います。
SNS等で現在すごくクルド人へのヘイトや間違った情報が広がっていて。そういう情報が広がる中で、こうしてクルド人の現状に耳を傾けてくださった皆様に本当に深く感謝いたします。本当にありがとうございます。
今日の出会いをきっかけに、子ども達の声を共に広げてその未来を作っていければと思います。

この記事を読んでくださり、ありがとうございました。
私たちNPOメタノイアは、
日本社会のなかで差別と抑圧に直面している子どもたちに、
学びのための場、安心して自分のままでいられる場を提供することを目指しています。
でも、それだけでは足りません。
社会全体の空気を変えていく。
あきらめず、出会いと連帯を広げていく。
私たちの活動はそんな「ムーブメント」でもあります。
ヘイトスピーチがSNSから街頭にまで蔓延し、人の心が傷だらけにされる時代だからこそ、人と人が、顔を合わせてつながることに意味があると思っています。
会って、しゃべって、笑って、また会おうねって言い合える人のつながりを増やしていく。
それが、今この時代に私たちが選べるもっとも強い抵抗の手段だと思っています。
だから、どうか、このムーブメントに、マンスリーサポーターとしてご参加いただけませんか。
月1,000円から、ご参加いただけます。そして、私たちメタノイアは、「認定NPO法人」という公益性の高い活動をする法人として行政に認められた団体です。
この「認定NPO」に「寄付」をしていただくと、寄付者の皆さまが税制優遇を受けられて、寄付金額から最大およそ50%、半分近くが皆さまに還付される仕組みとなっています。したがって、実質、毎月580円あまりからサポーターになっていただくことができます。

皆様、ぜひこの運動に、ご参加ください。そして、「ぶんだん、じゃないほうの、しゃかい」を、皆さんとご一緒に実現できたらと願っています。
上記の記事で語ってくれたクルド人青年スタッフ・メルバンさんのメッセージも、掲載されています。ご一読いただけますと幸いです。

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