開講日
月・木・土曜日(1日あたり3-4時間程度)
場 所
埼玉県川口市
参加者
45人(幼児/小学生20人、中高生17人、成人8人) * 2022年度中に1回以上参加した人の数
ボランティア団体「クルド日本語教室」との協力体制の下、2022年5月に開講したメタノイアの「川口芝クルド日本語教室」。
学校でも家庭でも十分な学習サポートを受けられない子どもたちの学習機会を少しでも拡充できれば、という想いで、子どもたちの歩みに伴走する取り組みをはじめました。スタートから1年が経ち、毎週欠かさず通ってくれる子どもたちも増えてきました。
皆さまのご支援のおかげもあり、着実に地域のクルドにルーツを持つ子どもたちの「選択肢」となることができていると感じています。
教室の存在意義
教室には、就学前の5歳くらいの子から高校生、また来日間もない子まで、日々多くの子どもたちが訪れています。
それぞれの背景はとても多様です。まだ幼かった頃に家族と共に来日した子、日本で生まれた子、つい数カ月前に来日した子。日本語の習得状況や、日本語に関する課題の内容も個々人に応じて様々です。
教室では、そのような個々人の状況に合わせて、学習内容やサポート方法を変え、子どもたち一人ひとりにとって有意義な時間が過ごせるようにと試行錯誤しています。学校の宿題やテストに向けた勉強など、本人のやりたいことを中心にサポートするケースもあれば、在籍学年の学習内容を理解できるようにするために、学年を遡って基礎学習をし直すように促すケースや、受験に備えてその子に必要な分野の問題を用意するケースなどもあります。来日間もなく日本語の習得がこれから、という子には今後の生活環境を踏まえた日本語の学習支援を行っています。
それぞれの状況が多様なために1対1の支援が中心となる教室ですが、そのような中でも様々な大人とつながり、誰とでも話がしやすい場、安心できる雰囲気づくりを大事にしています。「ここの大人はみんな自分を受け入れてくれる」「学校でも家でも話せないことを聞いてくれる」と思ってもらえたら、学習内容の習得と同じくらい、もしくは人生においてはそれ以上に大切な、自分で自分を受け入れ、認めてあげる力を育むことにつながると考えるからです。
学習面のサポートを入口に子どもたちとつながり、どこにも吐き出せないつらく悲しい思いを抱いたような時でも、ここに立ち寄れば心が励まされる、子どもたちにとっての逃げ場のような存在でもありたいと思っています。
協働団体「クルド日本語教室」 主宰・小室敬子さんよりメッセージ
埼玉県川口市で活動している「クルド日本語教室」は、2022年春から、NPO法人メタノイアと一緒にトルコからきたクルド人の児童生徒の学習と生活の日本語をサポートしています。皆様のご支援により、中学生は、埼玉県内の高校受験に必要な「北辰テスト」の過去問を使って、実際の入試と同じような問題に取り組むことが出来ました。また、小学生は漢字を書く宿題が多いですが、書くことよりもまず漢字を読むことが大事だと考え、音読の宿題をクルド人の両親に代わって聞くことにより、聞いてもらえる子どもの喜びを大事にしてきました。
日本語教室では、学校であった楽しいことや悲しかったことを日本語でたくさん話す児童生徒の聞き役になることも大事です。活動している講師の皆さんが温かく児童生徒を見守っています。子どもたちは、クルド日本語教室が安心して勉強したり自分のことを話したりできる場所となっています。これからも、皆様のご支援を賜りますようにお願い申し上げます。
関わる大人の広がり
これまで皆さまからいただいたご支援を通じ、子どもたちの学習をサポートする新たな講師の方々を迎え入れることができました。教室の体制を強化したことで、より多くの子どもたちを受け入れることも可能になりました。
また、私たちの隣人として生きているクルドにルーツをもつ人々の存在を知り、交流を望みつつもきっかけを見つけられないでいた方々が、私たちの教室にボランティアという形で協力してくれるようにもなっています。メタノイアの活動が、クルドにルーツをもつ子どもたちと日本社会とのつながりを強化するきっかけとなり得ると捉えています。
多様な背景をもつ子どもたち一人ひとりに寄り添い、共にありたいと考える仲間の存在そのものが、「他者」に対して排他的な側面も持ち合わせるこの社会において、とても心強く、活動を支える要となっています。
国会では現在、出入国管理及び難民認定法(入管法)の改定案が審議されています。本法案が可決されると、私たちが日々出会う子どもたちの明日が今以上に見えなくなってしまう可能性があります。日常生活が突然奪われ、記憶にもない、行ったこともない「祖国」に強制送還させられてしまうかもしれない、家族が離別させられてしまうかもしれない、今ある在留資格が突然剥奪されてしまうかもしれない。
そのような重荷を背負わされている子どもたちが、これからも自分の人生を生きていけるために、今何が必要か。私たちには何ができるのか。問い続けながら、引き続き子どもたちのもとにでかけていきたいと思います。
「川口芝クルド日本語教室」は、クラウドファンディング「日本で生きていく難民・移民ルーツの子どもに日本語学習の機会を!」を通じた皆さまからのあたたかいご寄付と、赤い羽根ポスト・コロナ(新型感染症)社会に向けた福祉活動応援キャンペーン「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」を受け、運営されています。
改めてご寄付をくださった皆さまに感謝を申し上げます。そして、この活動を丁寧に、息長く続けていくために、引き続いてのご寄付を下記より賜りますようお願い申し上げます。